真珠の構造の違い

核入り真珠(一般的な養殖真珠)

青柳と言う名の貝(主にミシシッピ川産、バカ貝とも言う)の蓋を球形に削って(3~9mm台)、貝の外套膜の断片と一緒に真珠貝の肉に挿入し(核入れ作業)1~2年間、海中に置くと、核の周りに真珠層が出来て(一千層は2~3mm)美しい真珠ができます。南洋真珠はこの真珠層が厚く丈夫。養殖真珠の内部は核が70%以上となります。

核無し真珠ケシ(芥子)

一般的な核入り真珠に対して、天然真珠を真似て作るケシは、核を入れず貝の外套膜の薄い断片のみを真珠貝に挿入します。そこに真珠層を巻きますが、核が無いためできる真珠は変形で小さめです。しかしながら真珠層だけの固まりと言えるこのケシは、真珠としての宝石評価は高く、ケシ独特の滑らかな肌、力強い輝き、雰囲気のある変形、などの個性が現代感覚とマッチして真珠マニアを魅了しています。生産高が一般の核入り真珠の1%にも満たないうえ、大きな10mm以上の南洋ケシは特に貴重です。あこや真珠、白蝶、黒蝶の各真珠で作られます。

養殖について

一般的な真珠の養殖

真珠の養殖は、真珠貝の中心に球形の核とそれに付着させた真珠貝の外套膜のかけらを挿入します。真珠貝はその外套膜のかけらから真珠層を巻き始め、出来上がりは真珠層が一千層にも重なって約1〜2mmの美しい真珠層を形成します。外套膜は真珠貝のいわゆるヒモと言われる部分で、細長く薄い貝の肉片です。それを1mm四方くらいに細かく切ったものを養殖用語で「ピース」と呼んでいます。

ケシ(芥子)の真珠の養殖

ケシの養殖は、真珠貝の肉の中に球形の核を入れずに、このピースだけを挿入します。核が多くの部分を占める一般の真珠と違いできあがったケシは真珠全体が真珠層でできている構造になります。そのためケシの特徴は輝きが力強く、表面の肌がきめ細かく滑らか、丸い核が入っていないため、様々な形をしています。もともと海中のジャリや海藻のかけらが真珠貝に入り、真珠ができた天然真珠の形態を真似たものです。養殖するようになっても長い時間がかかりその量はとても希少です。アコヤ真珠のケシは米粒の様に小粒ですが、同型の淡水真珠とは違い煌びやかな輝きがあります。南洋真珠(白蝶貝、黒蝶貝の真珠)のものは大きいものは15mm以上一般的にも10mm前後と大きく、その質の美しさゆえに一層貴重です。

当社ではこの南洋ケシ製品に力を入れてきました。自然派感覚で、現代感覚に訴える南洋ケシの個性的な一個、一個は真珠ファンを魅了してやみません。南洋ケシが東京、ニューヨーク、ヨーロッパの都市圏などで高い評価を受けるというのもうなずけることです。南洋真珠のケシは貴重性は高いため、一般的にはその製品もダイヤモンドで周囲を取り巻くなどの豪華なものが多い中で、当社はその一個一個のニュアンスをそのまま生かしシンプルなデザインに仕上げてきました。伊勢の本店から独立した30年前から、オリジナルなどでこのケシを使ったものが大ヒットし、それ以来長い間にケシの入手先が確立、市場では製品も限られている中で、当店では貴重なそれら製品がいつも豊富にご覧になれます。